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症状が無くても乳腺外科に行けるのが乳がん検診

[2021.02.11]
 令和2年度の乳がん検診がまもなく2月末で終了します。今年度も数多くの方に受診していただきました。乳がんは体の表面に近いところに生じる病気であり、注意していれば早めに気づくことができます。初めて当院で検診を受けた人達からよく聞く言葉が「触り方がわからない。」「触ってもよくわからない。」です。私は今でも以前勤めていた病院で乳がん集団検診を手伝って視触診をしています。多くの受診者の方々を次々にチェックする病院での検診では時間的制約があり、一人一人に時間をかけることができません。それでも乳がんを疑うまで行かずとも触って気になる人にはなるべく声をかける様にしています。これに対してクリニックでの乳がん検診では先に撮影したマンモグラフィー画像と照らし合わせて視触診所見について説明します。医師・看護師から話を聞いてご自分の乳房について意識していただけるよう指導します。これまでにも書いてきたように乳がん検診は1回の検診受診で乳がんを見つけようとはしていません。たくさんの方が乳がん検診を定期的に受けていただき、自分の乳房に意識を向けていただくことによって将来に日本の乳がんが早期発見にシフトし、その結果として乳がんで亡くなる方を減らすことにつなげようという地道ですが壮大なプロジェクトです。残念ながら現在の乳がん検診受診率は低く、この目標にはつながりそうにはありません。今年度の受診案内の葉書が届いた人の7割以上の方は受診されていないと思います。日本では皆様の健康管理のために国費を投じてがん検診・特定健診・肝炎検査等を安価で受けられるシステムを作ってきました。これらをうまく利用し、体の異変を感じたら速やかに各診療科を受診するようにすれば、毎年人間ドックを受けられなくとも十分な健康管理ができます。初めて受けるのは敷居が高いかもしれません。マンモグラフィーは痛いと聞くしと躊躇される方も多いと思います。しかし一度受けていただければ得られるものは多いと思います。コロナ禍の中多くの方は不要不急の外出を控え、結果として感染者との接触機会を減らして感染拡大を防ごうと努力しています。みんなで手洗い・マスク着用をすることでインフルエンザにかかる人も減っています。他の国に比べて感染者・死亡者を少なくできている日本人なら健康管理にも目を向けられると思います。

 今年の乳がん検診ではなぜか乳がんが見つかる方が例年より多くいます。家族の世話に追われる女性は自分の乳房にまで意識を向ける余裕がないのかもしれません。乳房の異変に気付けるようになるために、まだ間に合いますので症状が無くても乳腺外科に行ける乳がん検診を利用することを勧めます。今年度申し込みをされない方も令和3年度には是非受けていただきたいです。
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